コラム

「マイオブレースだけでは歯並びは治らない」「結局ワイヤーの2期矯正が必要ですよ」と言われ、不安になられた方も多いのではないでしょうか。
小児矯正と聞くと、「1期=顎の成長誘導」「2期=ワイヤーやマウスピースなどで最終仕上げ」という流れを想像する方が多いと思います。

しかし、正しく行えば、マイオブレースのみで歯並びを整えることは十分可能です。
実際、うめきた矯正歯科では、他院で「2期矯正が必要」と言われたお子さまが、マイオブレースだけで治療を完結した症例を多く経験しています。

ではなぜ、「マイオブレースでは治らない」と言われてしまうのか、そして“本当に治るために必要なこと”を、専門的な視点と実例を交えて解説します。

なぜ「2期矯正が必要」と言われるのか

1. 従来の矯正は「形」だけを動かす治療だった

ワイヤー矯正やインビザラインなどのマウスピース矯正は、歯に力をかけて物理的に動かし、きれいに並べる治療です。
この方法は、あくまで「歯の形や位置を整えること」が中心で、歯に固定する装置をつける必要があります。
そのため、乳歯と永久歯が混ざった時期には始めにくく、すべての永久歯がそろうのを待たなければならないという制限があります。

形だけを整える治療に頼る場合、永久歯が生えそろうまでの期間にできることは限られ、主に「顎を広げる治療」が中心になります。
このときに行われるのが、いわゆる床矯正急速拡大装置を使った治療です。

こうした背景があるため、小児矯正では治療が 「1期」と「2期」 に分けられていました。

2. 「機能」を整える視点が欠けていた

歯並びを乱す根本原因の多くは、「呼吸」「舌」「口唇」「頬筋」など、機能的バランスの乱れにあります。
たとえば口呼吸は上顎の発育を妨げ、顔全体が縦長で平坦になります。
舌が低位にあり、頬筋や口唇などの顔面の筋肉を使って飲み込む”逆嚥下”があると歯並びは叢生(ガタガタ)となります。

歯並びを悪くする原因に機能の問題があるので、歯を動かすだけでなく、機能の改善も同時に行うことが必要です。従来の矯正治療ではこの機能を治すという視点が欠けていたために、治療が終了した後に元に戻る後戻りが起こってしまいます。よって、治療が終わってからも歯並びがずれないようにするリテーナーという保定装置を使用することが常識でした。

しかし、機能を正しくすれば後戻りを起こすこともなくなり、保定装置を入れる必要もなくなります。そこが従来の矯正治療をマイオブレース矯正との視点の違いで、従来の矯正治療を行う先生方との治療の考え方の違いにもなっています。

日々成長を続けているお子さんの矯正治療には”機能の改善”と”形態の改善”の両方を行うことが治療成功の鍵です。
そして、この「機能の改善」と「形態の改善」の両方を行うことができるのがマイオブレース矯正です。

マイオブレース矯正とは──“形”と“機能”の両方を整える矯正治療

マイオブレースは、歯を強制的に動かす装置ではなく、正しい機能を取り戻して自然に歯が並ぶ環境をつくる治療です。
呼吸・舌・嚥下・唇の機能を、毎日のトレーニングとマウスピース型装置の併用で改善します。

正しい発育に沿って作られたアクティビティシステム

1. 呼吸の正常化──鼻呼吸を身につけるトレーニング

今の子どもたちは、気がつくと口がポカンと開いてしまう「口呼吸」の子が非常に多くなっています。
まずは、この口呼吸を“鼻呼吸”に変えることが何より大切です。

鼻で呼吸できるようになると、舌が自然と正しい位置に収まり、舌の力が顎の成長をしっかり促してくれます。
この順番がとても重要で、「鼻呼吸を身につける → 舌の機能が整っていく」という流れでお口の中の環境が良くなっていきます。

この「呼吸」に着目しているのもマイオブレース矯正の特徴です。

2. 舌・嚥下・口唇のトレーニング

うめきた矯正歯科のアクティビティは、経験豊富な専任スタッフが一人ひとりを丁寧にサポートします。
ただ決まったトレーニングをお伝えするだけではなく、その子が「どこが苦手なのか」「どう動かしたら正しくできるのか」をしっかり見極め、わかりやすく声をかけながら進めていきます。

また、アクティビティの順番は一つできるようになれば、その次のアクティビティがうまくできるように構成されており、着実に本来の成長へと促されます。

3. 成長の力を活かす“生物学的矯正”

子どもは正しい機能を取り戻していくと、本来の成長が自然に引き出されます。
口呼吸が続くと、お口まわりの筋肉の使い方が変わり、その影響は顔つきにも表れてきます。
そこで当院では、歯並びだけでなく呼吸や舌の動きによってどの部分に変化が起きているのかをお顔をしっかり見ながら、整えます。

マイオブレースは、成長期ならではの「骨が柔らかく育ちやすい性質」を活かし、正しい筋肉の動きで顎の成長を促す治療です。
急速拡大や拡大床のように本来の成長方向でない方向へ無理に広げるのではなく、自然な成長を利用するため、良くなった歯並びを維持することができます。当院では9歳までに開始されたお子さんであれば、いわゆる2期矯正という成人矯正を行わずに綺麗な歯並びへ導くことができます。

4. 形態を整える補助装置

マイオブレース矯正では、マウスピースで形態を整えるだけでなく、補助装置があります。

BB1・BWS・Myolayという装置があり、治療の進み具合によって使用する装置の選択やタイミングはお子さんによって異なります。うめきた矯正歯科では、治療の実績が多く、この装置を使うノウハウもあるのも強みです。

5. 歯並びと全身の健康のつながり

歯並びの乱れは「見た目」だけの問題ではありません。
実は、気道が狭い、睡眠の質が低いなど、全身の健康につながるサインであることも少なくありません。

呼吸・舌の位置・姿勢はすべてつながっているため、お口の機能を整えることで、
・呼吸がしやすくなる
・眠りの質が改善する
・姿勢が安定する
など、体全体に良い変化が出てくることも多いです。

症例紹介──「2期矯正が不要」となった実例

症例①:11歳男の子

他院で大人になってもしかすると抜歯矯正が必要かもしれないとお話されていたそうです。
年齢的にはギリギリのスタートとなりましたが、深い噛み合わせが改善し、歯のがたつきもなくなりました。

症例②:8歳女の子

他院で同じようなマウスピースの矯正治療のお話を聞かれたそうですが、最終的にワイヤー矯正へ以降すると言われたそうで、マイオブレース治療のみで完結できる当院を選んでお越しくださいました。下の歯並びのがたつきが改善し、後ろへ下がっていた顎も前へ行き、噛み合わせも上がりました。

症例②:8歳女の子

かかりつけ医で1期治療を行い、その後2期治療も必要というお話だったようです。マウスピースの装着とアクティビティをしっかり行ってくれたことで綺麗な歯並びとなりました。治療終了後もこの歯並びを維持されています。

「マイオブレースでは治らない」と言われた方へ

それは治療法の限界ではなく、進め方や実施の仕方の違いによるものです。
マイオブレースは装置を「つけるだけ」の治療ではなく、呼吸・機能を整えるシステムです。
これらを理解し、的確に行うことができる環境であれば、マイオブレース治療のみで十分な改善を得ることができます。

マイオブレース治療はお子さんの成長とともに行う治療ですので、一人一人進み方や改善ステップが異なります。うめきた矯正歯科では、MRC本部(オーストラリア)での研修を受け、700症例以上の実績に基づいたプログラムを提供しています。日本でも有数の多くの症例を経験しているため、お子さま一人一人に合った最適な方法を選ぶ“引き出し”がたくさんあります。

私たちが大切にしている「生物学的矯正」という考え方

矯正治療は、歯を動かす機械的な治療だけでは良い治療結果と長期の安定を得られることは難しく、生物としての成長過程をうまく導くことでうまくいきます。
呼吸、姿勢、筋肉、神経支配──それらはすべて連動しており、全てを正しい順番で整えることで全体のバランスが変わります。

うめきた矯正歯科では、豊富な経験を備えたスタッフとドクターによるマイオブレース治療を提供しています。

まとめ──“2期矯正の常識”を変える

マイオブレースは成長期にお子さま自身の力を引き出す治療です。

「2期矯正が必要」と言われたとしても、その前に、成長を最大限に活かす方法があります。

うめきた矯正歯科は
・抜歯矯正を行わない
・長期間にわたって歯に固定装置をつけない
・後戻りを起こさせない
・より良い顔貌に
という理念のもと、治療を行っております。

監修者情報

院長 堀田有希

経歴

  • 2016年 大阪大学歯学部 卒業
  • 2017年 大阪大学歯学部附属病院第一口腔外科 臨床研修修了
  • 2017年〜2020年 福岡県、山口県にて大型法人施設などで勤務
  • 2021年 真田山歯科勤務
  • 2024年 うめきた矯正歯科 院長就任

 

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※休診日:毎月1日・2日

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