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お子さんにも広がる睡眠障害
ひと昔前であれば、成人男性に多い病気だとされていた睡眠時無呼吸症候群が小児のお子さんにも増えているということをご存知でしょうか?
寝ている時に口が開いていたり、子どもの大きなイビキには要注意です!!
いびきをかく小学生は実に25%もいると言われています。特に、大きないびきをかいていると潜在的に小児睡眠時無呼吸症候群が存在する可能性が高いと言われています。
小児期に発症する睡眠時無呼吸症候群の原因としては、
- 顎顔面発育障害
- アデノイド増殖 口蓋扁桃肥大
- 上気道感染 アレルギー
があげられますが、これらの原因は単独ではなく重複する場合も多くあります。
顎顔面発育障害は歯科の領域であり、小児睡眠時無呼吸症候群は歯科で気づくことができます。
顎顔面発育障害とは
顎顔面発育障害とは、上下の顎・顔の骨の発育障害のことで、口呼吸が原因で引き起こされます。口呼吸は、本来前に成長してほしい顎を下に成長させてしまいます。顎の後ろに息の通り道である気道があるので、顎が前に成長しなければ気道の容積も狭くなり、就寝中の呼吸障害を引き起こしてしまいます。
睡眠障害が起こると何が良くないのでしょうか?
アルツハイマー病はご高齢の方に起こることで有名な病気ですが、原因物質としてアミロイドβなどがあることが発見され、これらが睡眠中に除去されることが解明されています。さらに、アルツハイマー病の患者さんの多くが実は、病気の発症よりもずっと前の中年期 (40〜50歳代半ば)に睡眠障害があったということがわかってきています。よって、働き盛りの男性が睡眠時無呼吸症候群になってしまうとアルツハイマー病を引き起こしやすくなることがわかってきているんです。
しかし、小児のお子さんですでに睡眠時無呼吸症候群になってしまう可能性が増えているということに私は深刻な問題があると考えています。
小児期に睡眠障害が起きてしまうとどんな問題が起こるでしょうか?
小児期に睡眠障害を起こしてしまうと、高齢になるよりずっと前の成人期の認知機能にも問題が生じる可能性があると言われ始めています。
成長期のお子さんは心も体も毎日成長していて、それには睡眠がとても大切です。睡眠の質が良くないと色んな悪影響(※)があることもわかってきています。※認知発達の低下・行動問題・ADHD様行動など
また、睡眠時無呼吸症候群は高血圧・心臓の疾患・糖尿病などの様々な病気の発症を多くしてしまうことも証明されていて、成人で睡眠時無呼吸症候群があると治す方法はありません。
お子さんの成長期にうまく顎と顔が成長できることは、成人で起こり得る色んな問題の予防になるとも考えられます。
睡眠は毎日行うことですので、質が悪くなってしまう原因があるなら一日でも早く改善してあげたいです。
口呼吸を鼻呼吸に変えて睡眠の質を改善し、顎の成長を正しく促すことが非常に大切で我々の使命だと考えています。
小児睡眠時無呼吸症候群の症状
- いびき
- 就寝中に息が止まる
- 頻繁な寝返り
- 夜中の覚醒
- おねしょ
- 感情の不安定・衝動的・攻撃的・ADHD様症状
- 日中の眠気
- 集中力の欠如
- 成長の遅れ
- 胸郭変形
いくつ当てはまったでしょうか?当てはまるものが多いと、小児睡眠時無呼吸症候群の可能性は高くなります。
睡眠の質が悪くなると、恐怖や恐れなどの情動を司る脳の扁桃体の反応が増加するので、イライラしたりカッとなりやすく攻撃的になると言われています。
また、口呼吸になると自律神経も乱れてしまいます。睡眠中は副交感神経が優位であってほしいですが、口呼吸は交感神経を優位にしてしまいます。そうすると、夜間の尿意を減少させる抗利尿ホルモンであるバソプレシンが分泌されにくくなり、おねしょをしやすくなりますし、レム睡眠が多くなり悪夢を見る原因にもなります。口呼吸を鼻呼吸にしてあげれば、おねしょのお薬は飲まなくて良くなるかもしれません。
マイオブレース治療では口呼吸を鼻呼吸にします。それは、歯並びを良くするだけでなく睡眠の質も良くして健康な体づくりも促します。
監修者情報
院長 堀田有希
経歴
- 2016年 大阪大学歯学部 卒業
- 2017年 大阪大学歯学部附属病院第一口腔外科 臨床研修修了
- 2017年〜2020年 福岡県、山口県にて大型法人施設などで勤務
- 2021年 真田山歯科勤務