マイオブレースじゃ治らない！？

マイオブレースが「効果なし」と感じられる主な理由
監修者情報
- 院長　堀田有希
  - 経歴

マイオブレースが「効果なし」と感じられる主な理由

「マイオブレースは意味がない」「続けたけれど変わらなかった」といった声を目にすると、不安になる方も多いのではないでしょうか。当院にも、他院さんでマイオブレースは効果がないと説明され、他の矯正治療との違いが何かという疑問をお持ちになってご来院される方が数多くいらっしゃいます。
ただし、そう感じられてしまう背景には、治療の仕組みへの誤解や使用方法の問題、期待値とのギャップなど、いくつかの共通した要因があります。

マイオブレースは、歯を直接動かす装置が主体の矯正治療ではなく、口周りの筋肉や舌の使い方、呼吸・嚥下といった習慣を改善しながら歯並びや顎の成長を整える治療法です。そのため、従来の矯正治療と同じ感覚で判断すると「効果がない」と感じられやすい側面があります。
ここでは、なぜそのように思われてしまうのか、代表的な理由を整理していきます。

予防矯正として位置づけている医院が多くあります

マイオブレース矯正を本格的な矯正治療の前段階＝予防矯正という位置づけで導入しているケースがあります。
その場合、マイオブレースで口腔習癖や筋機能を整えた後、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの「本矯正」に移行する治療計画が組まれます。

このような医院では、マイオブレース単体で歯並びを完成させる目的ではないため、マイオブレース矯正だけでは治らないという説明がされ、治療費が比較的安価に設定されていることも少なくありません。治療方法もマウスピースを入れるだけでアクティビティは行わないか、簡易のものだけ行う場合もあります。

変化を待てず別装置を併用してしまうと治療はうまくいきません

マイオブレースは、顔面や口周りの筋肉バランスを整え、正しい成長方向に導くことで歯並びを治す治療です。
この仕組みでは、

骨格や顎の位置に変化が起こる
顎のサイズが広がる
歯が正しい位置に並ぶ

これらが同時に起こります。成長しているお子さんに負担のかからない力で歯並びを良くするため、急速に顎を広げたり歯を動かす他の矯正治療と比較すると変化は穏やかで、その変化を待ちきれずに途中で他の装置を併用してしまうと、本来のマイオブレースのシステム通りに進まず、中途半端な結果になるケースもあります。
これも「マイオブレースは治らない」と言われる一因で、このような治療方法の併用は、本来のマイオブレースの成長誘導システムがうまく発揮されず、結果として、顎の成長と歯の動きがうまく噛み合わないため、
「思ったほど改善しなかった」
といった結果になり、マイオブレース矯正は治らないという評価になる場合もあります。

急速に顎を広げたり、歯を動かすと変化は大きいですが、生態が持つ本来の動きから逸脱していると後戻りを引き起こしやすくなります。

治療導入のハードルの高さが治療の質に影響していることがあります

マイオブレース矯正を適切に行うためには、アクティビティ（筋機能トレーニング）を指導できるエデュケーターの存在が欠かせません。
しかし、このエデュケーターを育成するには、時間と労力がかかり、医院側の負担も大きいのが現実です。

十分な指導体制が整っていない場合、

トレーニングが形だけになる
エデュケーターの理解が浅いまま治療が進んでしまう
継続率が下がる

といった問題が起こりやすく、結果として中途半端に行い「効果が出にくい治療」になってしまいます。
マイオブレース矯正は、医院側の知識・体制によって治療結果の質が大きく左右される点も理解しておくことが重要です。

マイオブレースだけで治すという覚悟の違い

マイオブレース矯正は、他の矯正装置に切り替えるまでの繋ぎの治療ではなく、マイオブレースだけで十分歯並びを整えることができる治療です。

当院では、適切な時期に治療を開始していただければ、永久歯列期までマイオブレースのみで改善を目指すという姿勢で治療に向き合っています。
治療が終了した後でも、永久歯がすべて生えそろっていない場合には、生えそろうまで経過を見守り、必要に応じてフォローを続けます。

また、経営的な理由から「治療期間は◯年◯か月まで」といった一律の制限を設けることはしていません。
成長期のお子さんの歯並びを治す治療では、原因から治すことができ、骨格の発育過程も正しくすることができるマイオブレース矯正が最善だと思って採用しています。マイオブレースの症例も日本有数で経験値も多いため、日々知識や技術をアップデートし難症例にも取り組むことができています。
マイオブレース矯正に対して本気で向き合い、お子さんの将来を見据えた治療を行うことを大切にしています。

「マイオブレースは患者さん主導の治療だから不安」「きちんと使ってもらえないのでは？」
このような理由で、マイオブレース矯正を敬遠される方も少なくありません。

マイオブレース矯正は治らないを『患者主導だから』で片付けていませんか

確かにマイオブレースは、装置を装着する時間やトレーニングの継続が治療結果に影響するため、お子さんとご家族の協力が欠かせない矯正治療です。
しかし、これはマイオブレース特有のデメリットではありません。

たとえば、床矯正やインビザライン・ファーストといった取り外し式（可撤式）の矯正装置も同様に、患者さん自身が毎日装置を装着しなければ効果が得られませんし、装着時間も床矯正なら14時間以上、インビザライン・ファーストなら20時間と説明されるのではないでしょうか。
それらに比べてマイオブレース矯正のマウスピースの装着時間は日中の1時間と就寝中のみです。学校につけていく必要はありません。
一日中装着が必要な矯正装置と比べると、日中の装着時間や負担が少なく、生活とのバランスを見ながら取り組んでいただけます。「患者主導だから治らない」は間違いです。継続したマウスピースの装着やアクティビティへ取り組んでいただけるよう我々が全力でサポートします。生活習慣はそれぞれのご家庭でバラバラですので、取り組みやすい方法をご提案したり、モチベーションが維持できるように楽しんでもらえるような工夫が当院にはあります。

マイオブレース矯正がうまくいくかどうかは、「患者さん主導だから難しい」と切り捨ててしまうか、その側面があることを理解したうえで、どう支え、どう導くかを本気で考えているかで大きく変わると考えます。
治療を受けるお子さんやご家族だけに責任を委ねるのではなく、医院側が理解・体制・関わり方を整え、最後まで伴走することの大切さ、多くのマイオブレース治療を経験した私たちだからこそお伝えできることがあります。

マイオブレースは決して「効果のない矯正治療」ではありません。
正しい知識と治療方針、そして継続を支えるサポートがあれば、成長期のお子さんにとって大きな可能性を持つ治療法です。

ご不安や疑問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。